リタイア世代が陥る「投資一括解約」の大損リスク…540万円を1248万円にまで激増させる“取り崩し戦略”
投資は50歳からで十分。元本を2倍にする手堅い積立
働くことで収入を補い、固定費を見直して支出を最適化する。老後資金を守るためにこれらは不可欠ですが、これだけでは対応しきれない脅威が控えています。
それは、現在進行形で進む「物価上昇(インフレ)」の波です。世間ではよく、「高齢になってからの投資はリスクが高すぎる」「現金で銀行に預けておくのが一番安全だ」と言われます。
とりわけ、リタイア世代にとっては現役時代に貯めた大切な資産ですから、1円も減らしたくないと考えるのも無理はありません。ところが、インフレが続く今の世の中で、現金をただ銀行に眠らせておくのは、自分から資産を減らしにいっているようなものです。
モノの値段が年3%ずつ上がっていく世の中で、金利がほぼゼロの銀行口座にお金を預けたままにしておくと、数字上の残高は変わらなくても、そのお金で買えるモノの量は毎年3%ずつ減っていきます。
つまり、現金維持に固執することは、インフレによって資産が目減りしていくのをただ黙って見ているのと同じなのです。このインフレの脅威に立ち向かうには、国や銀行に頼るのではなく、「お金にも働いてもらう」視点、すなわち手堅い資産運用がどうしても必要になってきます。
「そんなこと言っても、今さら投資なんて始めても遅いでしょう?」と思う人もいるでしょう。でも、諦める必要はありません。
高齢期からの資産形成において重要なのは、一発逆転を狙う派手な投資ではなく、投資信託などを用いたコツコツとした積立です。具体的な数字で見てみましょう。
仮に50歳から15年間、毎月3万円ずつ投資信託の積立投資を行い、年利5%で運用できたとします。15年間の投資元本は540万円ですが、じわじわと複利の効果が効いてくるため、65歳になる頃には約800万円の資産に育ちます。
ここからが、シニア世代の資産運用における本当の肝になります。多くの人は「増えたお金をリタイア時に一括で解約して、あとは切り崩すだけ」と捉える傾向にありますが、それは非常にもったいない。
老後において本当に重要なのは、増やしたお金を「運用しながら長持ちさせて引き出す」という取り崩しの戦略にあります。この800万円を一気に引き出すのではなく、残った元本を年利5%で運用し続けながら、20年間に分けて毎月約5万2000円ずつ取り崩していくとどうなるか。
トータルで受け取れる総額は1248万円にまで膨らみます。元本の540万円から差し引くと、実に708万円もの資金を運用によって新しく生み出した計算になります。
お金の寿命を劇的に延ばすこの仕組みが、インフレ時代における最強の防衛策と言えます。

















