(25)老健への移動日の“サプライズ”に満足そうに顔をほこらばせた
おかんの抵抗を病院のソーシャルワーカーに相談した数日後、「不安はあるようですが、落ち着いてきましたよ」とのメールが届いた。病棟スタッフたちが上手に説得してくれたようで、老健への移動日も決まったという。
ほっとした半面、おかんは外づらがいいので自分たちへの抵抗はまだ続くであろう不安はぬぐい切れなかった。ちなみに回復期病棟から老健へは、渡り廊下で30メートルほど移動するだけ。本来なら家族の付き添いなどいらないのだが、移動日は兄とふたりで病院に向かった。
「本当に落ち着いているのかな」
「また抵抗されたらどうする」
恐る恐る病棟の4人部屋に入ると、外出着に着替えたおかんがベッドにちょこんと座っていた。足元には着替えなどの入ったバッグもある。まるでこれから旅行に行くかのようないでたちだ。
「遅かったじゃない、ずっと待ってたのよ」
明るい声で迎えられ拍子抜けしてしまった。そこに担当医師と看護師がやってくると、意外なことがわかった。


















