世界中で問題になっている「多剤耐性菌」には細心の注意が必要
医療現場で使われているスマートフォンには、「多剤耐性菌」が多く付着している──。そんな研究結果について前回お話ししました。多剤耐性菌とは、抗菌剤が効きにくく院内感染の原因になる細菌で、この研究ではバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が11.2%、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が4.7%という高率で検出されています。
細菌を殺したり、増殖を止める抗菌剤(抗生物質)は、細菌による感染症を治療するために欠かせない重要な薬です。しかし、そんな抗菌剤の不必要な乱用や、自己判断による中止といった不適切使用が、多剤耐性菌を出現させます。抗菌剤は細菌にとっては猛毒ですから、細菌は生き延びるためにその抗菌剤を無効にしようとします。それを繰り返すうちに、細菌はさまざまな耐性システムを構築してしまうのです。
多剤耐性菌が増えると、それまでは抗菌剤を使えば回復できた感染症の治療が難しくなり、重症化や死亡を招くリスクが高くなります。とりわけ、免疫力の弱い乳幼児、妊婦、高齢者、悪性腫瘍の化学療法中や慢性心不全のような基礎疾患のある患者では命取りになる可能性があります。


















