友達作りは「その人のいいところ探し」「コミュ力不要の社交術」古市憲寿著/新潮新書(選者:佐藤優)

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「コミュ力不要の社交術」/新潮新書

 学生時代の友達と社会人になってからの友人には大きな違いがある。社会人になってからの友人関係にはどこか利害が絡んでいる。

 逆に社会人になっても利害がまったく絡まない友達がたくさんいると自慢する人は、「私はまともに仕事をしていません」と言っているようなものだ。

 人間関係には、適宜、利用・被利用の関係があっていいのだ。この原則を踏まえ、社交術は習得可能な技法であると強調しているのが社会学者の古市憲寿氏だ。古市氏は友達のポートフォリオを組むことを勧める。

<一人の相手にすべてを求めるのではなく、「こういう部分でやりたいことが共通している」とか「このジャンルでは趣味が似ている」、「この分野ではこの人の意見を信用できる」といった具合です。/身近な例でいうと、映画館に一緒に行くならこの人、とか、仕事のことを相談するならこの人、食事に行くなら、旅行に行くなら……と、おおまかな分野ごとに友達をグループ分けして考えていて、自分がその時やりたいことに応じて、グループの中から誰かを誘うことが多いです。/友達一人に「全部のせ」って怖くないですか> 

 一人の友達に全てを賭けるのはリスクが高すぎる。全ての情報を共有することが友達の証しではない。例えば、夫婦間でも互いの経済状況について透明にしない方がうまくいく。キャバクラやパチンコで遊んだことを妻に知られてもよい反応は期待出来ない。

 子育てで休職している主婦でも、自分が自由になるお金をまったく持っていないと、ママ友たちのランチ代について、いちいち夫から了承を得るような事態になってしまう。

 そうなると夫婦関係が息苦しくなる。夫婦でも友人でも、別人格であるという大前提のもとで行動することが持続的信頼関係を維持するコツなのだ。

 古市氏は<言い換えれば、友達を作るというのは、「その人のいいところ探しをする」というプロセスでもあります>と強調する。評者も同じ考えだ。

 裏返して言うと「その人の悪いところ」に関しては、自分に危害が及ばない限り無関心でいるのがよい。 ★★★

(2026年6月26日脱稿)

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