「東京難民」佐々部清監督

公開日: 更新日:

「特に若者は助けてと声を上げない傾向にあると聞きました。映画学校の学生や成人したばかりの自分の娘たち『さとり世代』を見て思うのは、熱くない、どこか冷めているということです。僕も若い頃は金欠で、風呂なし共同便所の4畳半住まいでしたけど、仲間と安酒を飲みながら、朝まで夢を語っていた。若者たちが未来も語れなくなっている社会、日本の今のシステムに根本的な問題があるとしか思えません。突き詰めれば教育、彼らを育てた我々大人の責任ですよ。今回はこの国を動かしている人たちにも見てもらいたいと考え、安倍首相にDVDを送らせてもらいました。まだ公にしていませんが、昭恵夫人からコメントを頂いています」

――見て欲しいところ、作品を通じて訴えたいのは何ですか?

「株価や五輪に浮かれるより前にまずは元の世界に戻す。それが先決ではないかということです。震災からの復興、原発問題などをないがしろにしてはならない。子ども世代、孫の世代にツケを回してはならないと思うのです。中高年の同世代にはもう少し頑張りましょうと言いたいですね。とはいえ、フリーランスの僕自身も、昨年秋から収入がなく、暮れも正月も家でじっとしているしかないような、東京難民に近い状況です。映画では学生の転落を描いていますが、我々の世代にとっては“明日は我が子”でもあるわけです。最後の最後に少しだけ救いを持たせました。社会派を狙ったわけではありませんけど、現実にも救いや希望がなければ嘘ですよ」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?