著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第2回>高倉健は中国で愛され尊敬される日本人だった

公開日: 更新日:

 僕はいくらなんでも大げさだろうと思った。ところが、現地へ行ったら、彼の話は本当だった。吉永さん、邦ちゃんとマイクロバスに乗って上海の見物に出かけたら、街にはパジャマ姿の人がたくさん歩いていました。まだ開放前だったからね。そうしたら、バスに乗っていた邦ちゃん、僕が見つかったんです。大群衆にバスを取り巻かれて、『高倉健が乗っている』と。群衆は映画の主題歌を歌いながら、バスを揺さぶってしまう。警察が出動してなんとか脱出できたのですが、それにしても映画の持つ影響力を思い知らされました」

 当時、中国の大衆は自宅にテレビを持っていなかったし、この映画が初めて見た外国映画だった。それだけに高倉健の名前と姿は彼らの脳裏に刻み込まれたのである。

 中国ナンバーワン映画監督のチャン・イーモウは、この作品を見た当時、陝西省咸陽市の紡績工場で工員をしていた。高倉のファンになってから映画への道を志し、一流監督になる。そして、2006年には高倉健主演の日中合作映画「単騎、千里を走る。」を制作した。チャン・イーモウ監督は記者会見で「ただただ高倉さんと仕事をするのが夢だった」と語った。高倉健はチャン監督がこう言っていたことが忘れられないと語った。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲