映画評論家・前田有一選 「新時代のテロルを理解する」映画群

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■「アルジェの戦い」(65年、伊・アルジェリア)

 とくにアフリカ系移民に対する失政が指摘される仏の移民政策だが、同作はかつて仏の準植民地だったアルジェリアの独立戦争を描いた戦争映画。そのリアリティーたるや、米国防総省が自爆テロ対策のため教材にしたほど。

■「フロンティア」(07年、仏・スイス)

 こうした対立構造は、残虐ホラーのような娯楽作にさえ常識のように登場する。この作品も移民2世の若者が主人公だが、暴動から逃げる途中で立ち寄った民宿が、実は食人一家で……という設定。異質なのは、極右大統領が当選する物語背景が、さらなる悲惨なオチにつながる点だ。

 これらを見ると、長年の仏社会の問題がついに臨界点を迎えたことがわかる。日本が巻き込まれた人質事件も根は同じなだけに、仏社会の問題は決して対岸の火事ではない。はたして事態の収束はいつになるのか。

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