繰り広げられる“弱者叩き”の背景を考察「曖昧な弱者の時代」伊藤昌亮著
「曖昧な弱者の時代」伊藤昌亮著
コロナ禍で時短協力金を得た飲食店をはじめ、生活保護受給者や非課税世帯、さらに女性や外国人など、社会的に公認された「明白な弱者」だけが特別扱いされるのは不公平だ、「自分だってつらい」と訴える「曖昧な弱者」が憤怒を抱き、明白な弱者に敵意を向ける。その結果、「弱者叩き」が繰り広げられ、本来は支援の対象であるはずの「明白な弱者」が誹謗の対象にされてしまう。「曖昧な弱者」には悪いことをしているという意識はない。なぜなら弱者叩きの背後では、「自分だってつらい」し、さらには「自分のほうがつらい」と、自らの弱さを競い合う「弱者争い」が繰り広げられているからだ。それが弱者叩きを正当化する根拠となっている。
2020年代の社会と政治の状況を読み解きながら、この「曖昧な弱者の時代」を考察した時評。(岩波書店 1012円)


















