患者さんの不安に寄り添う「話を聞く力」が支える療養生活
神経因性膀胱で尿道バルーンを留置している80代の女性の患者さんがいました。尿道バルーンとは、風船状のバルーンが付いた管を膀胱に留置し、24時間自動的に尿を袋へためる医療器具です。
神経因性膀胱は、神経の異常によって膀胱の機能に障害が生じる病気です。膀胱や尿道の働きは、脳や脊髄、末梢神経などの神経系によってコントロールされています。この神経系に異常が起こると、尿をためることや尿意を適切に感じることが難しくなってしまいます。
こうした疾患では診察や処置を行う部位が陰部周辺になるため、特に女性の患者さんでは男性医療者に診てもらうことへ抵抗を感じる方が少なくありません。そのため、訪問診療でも女性スタッフの訪問を希望されるケースが多くあります。
この患者さんは、不安神経症も患っていました。病気とは直接関係のない日常生活のさまざまなことに強い不安を抱き、そのたびに当院へ連絡をくださり、不安な気持ちを打ち明けていました。
時には痛み止めを処方しても、「腎臓が悪くなるかもしれない」と心配し、服用をためらうこともありました。痛みがあっても、「痛み止めによって腎機能が低下し、新たな病気になるのではないか」という不安が勝ってしまうのです。


















