映画「ソロモンの偽証」成島出監督特別インタビュー(上)
それでも涼子を主役に抜擢した決め手は声と目。お芝居は時間をかけて毎日稽古すれば何とかなるけど、あの力強いまなざしと声は素質だからです。でもまあ、よく泣きました。リハーサルでも本読みでも。「やらなきゃいけないことは分かってるけどできない」という悔し泣きで、何リットルも泣いてました。すぐに「まばたき病」が出るし。原作ほど“スーパー中学生”じゃないことを示す描写を入れたのも、涼子の弱さを取り入れて「アテガキ」したからです。
彼女を選んだ時点で“賭け”だったので付き合うつもりではいましたが、「やれないなら映画そのものをやめるぞ」と言ったこともあった。もし涼子が化けてくれなければ、来年もう1回オーディションをやり直そうという覚悟で臨みました。スタッフには「クランクイン予定の1カ月前にその判断をさせてくれ」と頼んで撮影がスタートしましたが、最初に裁判シーンのリハーサルをしたときはヒドイもんでしたよ。学芸会状態で、その様子を見たスタッフが「大丈夫かコレ……」と漏らして帰っていきましたからね。メーキング撮っておけばよかった(笑い)。
(つづく)