著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

萩本欽一(1)「だから個人でCMを出したんです」 フジテレビ騒動でスポンサー撤退…決断の理由

公開日: 更新日:

 作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「今回はお忙しいなか時間を取っていただいてありがとうございます。これから何度かに分けて、これまでの人生の来し方、さまざまなことを伺わせてください」

萩本「何日かかるかな。もう、隠すものがなくなるぐらいだね(笑)」

増田「僕は還暦なんですけれども、僕の父母とか親戚、近所の人まで、萩本さんに会いに行くと言っただけで『すごい!』と驚いてました。親の世代、僕の世代、それから今の50代、みんな神のように見てますよ」

萩本「ありがたいですね」

増田「いま現役のコメディアンとか、若手の芸人とかも含め、僕のようにファンだった者にも言葉を残して欲しいんですよね。いろんな経験から培われた言葉を」

萩本「うんうん。なるほど」

増田「2024年末、フジテレビの問題があったときに萩本さん個人でテレビCM*を出していてびっくりしました」

※個人でテレビCM=タレントとフジテレビ社員によるトラブルに端を発した問題によって多くのスポンサーがCM出稿を引き揚げる中、2025年3月30日の同局「早く起きた朝は…」(日曜・午前6時30分)の放送枠で2度、CMに登場。「私はテレビにだまされた。できない司会で番組が当たり、アッと気付いてレギュラー5本! これ、恩人か!?」と語り、続けて「テレビさん、そして見ているあなた、ありがとうございます」と笑顔で話した。「これは萩本企画のCMです」とテロップが入れられ、大きな反響を呼んだ。

萩本「はいはい」

増田「多くのスポンサー企業がCMを停止し、ACジャパンの公共広告ばかりになる事態のときに萩本さんが応援広告。あれはやっぱり恩返しの意味なのかなと」

萩本「自分はテレビに育ててもらったという思いがあるもんですから」

増田「困っているなら応援すると」

萩本「はい」

増田「あれ見てジンときました。多くのスポンサーが逃げるなかでタレントが個人スポンサーになるって聞いたことがない。萩本さん個人が叩かれるリスクが大きいなかで、これは恩返しなのかなと思いました」

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