「クロ現」騒動を機に…NHKの“たわいない報道”加速の一途

公開日: 更新日:

 しかし、全面的に批判されるべきなのか。経営委員や“会社”とは別に、“現場”には悔しい思いをしたり、頑張っている制作者も多いだろう。良質な番組もあるのだ。

 その代表がドキュメント。「NHKスペシャル」は先週の「シリーズ認知症革命」で、認知症老人や施設を綿密に取材した。さらに科学、宇宙とテーマも幅広い。

 見応えがあるのは「新・映像の世紀」のシリーズ。10月に放映した「百年の悲劇はここから始まった」などは第1次世界大戦や超大国アメリカの出現など未公開映像が次々に紹介された。

「沖縄戦全記録」も戦場の貴重なVTRや証言の数々は出色。戦争に突入する背景がよくわかるし、さらに、「今の時代も似てきているのでは」と考えさせられる作りにしている。

 21日は「シリーズ東日本大震災 追跡原発事故のゴミ」。タイトル通りの内容の中にも、きっとニュース番組ではやらない、放射能の危険性や国の対応への提言も含まれると期待できる。

 “報道”がたわいない中身になっても、“ドキュメント”は鋭く。そんなNHKの現場に期待。くれぐれもドキュメントまで骨抜きにされないように。“ヤラセ”は絶対にご法度ですよ。
(作家・松野大介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

  3. 3
    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

  4. 4
    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

  5. 5
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

  1. 6
    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  2. 7
    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

  3. 8
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  4. 9
    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異