マクドナルドの光と影 「ファウンダー」盛況の3つの理由

公開日: 更新日:

 いわゆる感動と涙を誘うポジティブな中年の成功物語かと思いきや、さにあらず。利益最優先でフランチャイズ拡大に夢中になるレイは、マクドナルド兄弟を会社から追い出してしまう。しかも非情で姑息。口うるさい人間はカネを握らせて黙らせようとするだけでなく、自分に都合の悪い条件は正式な契約書で明文化せず、口約束でうやむやにする。義理も人情もないドロドロとした裏話も描いているのだ。

■“実業家”トランプ大統領の影響も

 なぜ本作がウケるのか。前出の大高氏は「マクドナルドという誰もが知る知名度の高い大企業を描いたのが、ひとつの大きな要因ではないか」とこう続ける。

「描かれた内容は広くは知られていない話で、企業知名度とのギャップも大きかった。しかもサクセスストーリーに終始した起業家の立志伝とは異なり、光と影の両面をしっかりと描き、その功績は『功罪相半ばする』と提示したことで、より多くの観客の関心を呼んだともいえる。世の中はいま、実業家としての手腕をアピールし、大統領にまで上り詰めたトランプ氏の一挙手一投足に注目が集まっている。頂点に上り詰めたモノへの関心が高い時代背景も大きいのでは」

 今年の夏興行は例年以上にアダルト向けの作品が弱かったが「ファウンダー」はオトナの嗜好に耐えうる良作のようだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する