帯状疱疹は「痛い」だけではない…脳の健康とも深く関係?
以前にも触れた「帯状疱疹」について、最近、Nature誌、Nature Medicine誌に、相次いで興味深い研究が発表されました。帯状疱疹の原因である「水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)」の再活性化と認知症の発症リスクに関係がある、というのです。
VZVは子供の頃にかかった水ぼうそうの“残り火”のように神経に潜み続けます。そして、加齢やストレスをきっかけに燃え上がる──これが帯状疱疹です。しかし、この再活性化は皮膚の発疹だけで終わらず、神経や脳に静かな炎症を持続的に起こし得ることが、以前から指摘されていました。
今回の研究で明らかになったのは、「帯状疱疹ワクチンを接種した人は認知症リスクが低い」という、一見すると驚くような結果です。とりわけ、2017年以降に使われ始めた不活化ワクチン「シングリックス」は、2回接種した人ほどリスク低下が大きいという結果でした。ただし、自己免疫疾患などの基礎疾患がある人では効果がやや低下する可能性も示唆されています。これは、ワクチンが帯状疱疹の発症を強く抑え、その結果としてウイルスの再活性化による脳への悪影響を減らしている可能性が示唆されます。


















