骨折した猿之助の代役を全う 尾上右近“スター誕生”の瞬間

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 右近の他、中村隼人、坂東巳之助、坂東新悟たち平成生まれが活躍。若いと思っていた猿之助も彼らと比べると、もう若くない。それを自覚し、自分よりも若い世代を育てる――つまり舞台で主役を経験させるのは、言うは簡単だが、なかなかできることではない。猿之助の決断と、若手の力を見抜く慧眼に拍手だ。

 歌舞伎座も負けていない。尾上菊之助主演で、インドの神話的叙事詩を原作にした新作歌舞伎「マハーバーラタ戦記」(青木豪脚本、宮城聰演出)。菊之助が企画した大作だ。菊五郎、左團次たちベテランは脇に下がり、菊之助、尾上松也中村七之助、坂東彦三郎、坂東亀蔵ら若手が主要人物を演じる。

 なかでも尾上松也が際立つ。菊之助が優等生的なヒーローを演じたのに対し、松也はその敵役で、悪人だが、彼にも彼なりの正義があるという複雑なキャラクターをうまく演じた。松也は大河ドラマでも今川氏真を好演しているが、歌舞伎座でも十分に主役級が務まるようになった。

 菊五郎劇団の若手が目立つ10月だ。 

作家・中川右介)

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