三浦浩一さんの俳優人生を変えた 故・平幹二朗氏との稽古

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 稽古が始まったのは公演の1カ月ほど前でしたが、演出を担当された文学座所属の高瀬久男さん(15年死去)からのダメ出しがものすごかったんです。

 体の向きに始まり手の上げ下げ、セリフの音程や間の取り方、とにかくあらゆることにダメ出しばかり。毎日毎日言われ続け、台本に書き込んでいったらセリフの量より多いくらい。

 しかも、ダメ出しのほとんどが僕に向けてだったので、共演の方から慰められる始末。イジメじゃないかと勘ぐったほどです。それで朝起きて稽古に行かなきゃって思うとそれだけで憂鬱な気分になり、途端に体の動きが鈍くなってしまう。すっかり“出社拒否状態”でした。それでついつい愚痴っちゃったわけです。

 なぜ、ダメ出しを食ったか。それは東京キッドブラザースで身についた“客がけ”という演出方法から抜け出せていなかったからなんです。“客がけ”はお客さんとの一体感を優先して客席に向かって芝居をする方法で、極端にいうと、会話のシーンでも相手に向き合うのではなく、お客さんに向かって話す。これを高瀬さんにトコトン修正されました。

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