星野仙一さんから飛び出した「日刊ゲンダイに悪口を書かれてこそ一流」の真意
星野仙一(元中日、阪神、楽天監督/70歳没)
あれは、中日での第2次政権2年目、1997年のことだった。
華々しく開場したナゴヤドーム(現バンテリンドームナゴヤ)を新本拠地としてスタートしたこの年、優勝を至上命令としながら5年ぶりの最下位に沈没。チームが急失速した夏場過ぎ、星野仙一監督に「おい、ゲンダイ」と声をかけられた。
横浜スタジアムの三塁側ベンチ裏。大勢の報道陣に囲まれて雑談に応じていた星野監督が、その輪の中に本紙記者の姿を見つけるや、いきなりこう話し始めたのだ。
「日刊ゲンダイは何や、最近、オレのことをちっとも書いとらんな。前はよう書かれたけどな。オレに魅力がなくなったんか? 取り上げるだけの価値がなくなったということやな」
皮肉交じりのアイサツか。とりあえず笑ってごまかした本紙記者の顔を凝視した星野監督、さらにこう続けた。
「オレはな、日刊ゲンダイに悪口を書かれてこそ本物だと思っとるんだ。こいつらは、二流、三流は相手にしない。日刊ゲンダイを見てみい。政治でも何でも、悪口を書かれているのは田中角栄をはじめ、みな大物ばかりやろ。日刊ゲンダイに批判されて初めて一流。違うか? オレは本気でそう思っとるんだ。だからオレに魅力がなくなったのかと聞いたんや。いいかげんなことも書いとるがな、同じくらい、まともなことも書いとるよ、こいつんとこは」
試合が雨天中止となったベンチ裏で突然、始まった星野監督の演説。真意が理解できないスポーツ紙担当記者をはじめとする報道陣から間を取るような笑いが起こると、「ばかやろー、笑い事じゃないぞ」と星野監督、今度は一転してスポーツ紙批判を展開し始めた。
「おまえら(スポーツ紙記者)も、少しは日刊ゲンダイを見習え。おまえらみたいに、悪いことには目をつむって、いいことばかり書いとるヤツらはマスコミじゃない。何でも美談に仕立てるおまえらが選手を増長させるんや。ドラゴンズが弱いのはおまえらのせいでもある。おまえらが優しい記事ばかり書いとるから、うちの選手もいつまでたっても甘ちゃんなんや。悪いことは悪いと正直に書けよ。正当な批判なら、何を書いてもオレは怒らんぞ」


















