スフィンクスの前で熱唱 岩崎宏美さんのとっておきの1枚

公開日: 更新日:

腹痛で歌える状態ではなかった

  ところが、毎食気をつけていたのに、なんとコンサート当日朝からお腹が痛くなったのには困りました。お昼を過ぎても痛みは治まらず一滴の水も喉を通らない。開演は夜9時でしたが、とても歌える状態ではありませんでした。

 それでもステージは務めなければなりません。お医者さまに点滴を打ってもらいながらメークをして、ギザの砂漠の会場に車でたどり着きました。そして車から降りた途端、視界に入ってきたのが漆黒の闇の中にライトアップされたピラミッドとスフィンクス。その荘厳なたたずまいに圧倒されました。前日、リハーサルの時に見たのとは別の気高さがあり、思わず言葉をのみ込んでしまったほど。すると不思議なことにお腹の痛みが一瞬にして治まったのです。現地に着くまでお腹から手が離せないほどの激痛だったのに……。ピラミッドのパワーだったんでしょうね。

 そんな冷や汗もののハプニングがありましたが、無事開演。会場はエジプト人や現地の日本人で満席。エジプトの方々も日本語の曲にもかかわらず、ノリノリで聴いてくださいました。最後に歌った曲が82年5月にリリースした「聖母たちのララバイ」。日本テレビ系で放映された「火曜サスペンス劇場」の主題歌といえばおわかりの方も多いかと思います。

 この曲を歌い出したところ、それまで歓声が上がっていた会場が静まり返りました。とくに日本人の方々は真剣なまなざしになり、ご夫婦で目頭を押さえていらっしゃる方もおられました。

 歌詞に「この都会は戦場だから」「男はみんな 傷を負った戦士」とあるのですが、遠く日本を離れてエジプトで仕事をされている方々やご家族は、まさに自分たちのこととして聴いてくださったんですね。

 今でこそインターネットや携帯電話で地球の裏側にいても連絡できますが、32年前の海外赴任といえば、かなりの覚悟が必要だった時代です。しかもエジプトは飲料水ひとつをとってもすごく気をつけながら生活しなければなりません。

 作詞をされた山川啓介さんからは「企業戦士の歌」としてお作りになられたことを聞いていました。なので、「生きていくこと自体が戦場なのかも」と初めて実感しました。

 あの時に歌った「聖母たちのララバイ」は忘れられません。エジプトコンサートは私の歌手生活の貴重な一ページになったのは間違いないですね。

■コンサートツアー「PRESENT for you*for me」 11月24日、長野・長野市芸術館

★クリスマスディナーショー 12月6日、岐阜・下呂温泉(水明館)。15日、埼玉・パレスホテル大宮。23日、神奈川・横浜ベイシェラトンホテル

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    NHK3年連続赤字で番組制作費82億円カット…タモリもダーウィンも華大も豊臣もピンチ!

  4. 4

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  5. 5

    日テレが「news LOG」和久田麻由子を全面バックアップできない切実事情…佐藤栞里や有働由美子との決定差

  1. 6

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 7

    椎名林檎と成田悠輔氏の親密デート発覚!「異色の超ビッグカップル」誕生も「いわくつき」と見られるワケ

  3. 8

    【5.独走態勢】「ミッドナイトフライト」「夜間飛行」が候補だったが、明菜が「北ウイング」を提案した

  4. 9

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  5. 10

    元ボクシング世界王者・薬師寺保栄が妻に無断でレースQの愛人を「養女」に…妻が明かした苦しい胸中

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ