湯川れい子さん語る エルビスとのキスと結婚証明書サイン

公開日: 更新日:

 内外のビッグアーティストとの深い親交で知られる音楽評論家の湯川れい子さん(82)。数多くの貴重な写真の中でも、「キング・オブ・ロックンロール」、故エルビス・プレスリーと撮った、とっておきのものがこれだ。

  ◇  ◇  ◇

「お祝いのキスをしてください!」

 忘れもしません。1973年8月10日、米ラスベガス・MGMグランドホテル内のエルビスの控室。私はこう言って唇にキスを求めたのです。

 彼は驚いた表情で、ポッと頬を赤く染め、隣にいた私の夫に尋ねました。

「本当によろしいですか?」

「もちろんです。どうぞどうぞ、ボクがして欲しいくらいです」

 夫も夫ですよね。こんなジョークで返すんですから。すると、彼は表情を緩め、握手をしてチュッと唇を重ねてきました。むきたてのミカンのように、柔らかくてひんやり。その感触は今でもしっかり覚えてますよ。

 この日、私たちはラスベガスの教会で結婚式を挙げ、エルビスに結婚証明書に証人としてサインをしてもらいました。その時の記念写真がこれです。撮ったのは彼のオフィシャルカメラマン。その直後に「何が欲しい?」って尋ねられキスをねだったんです。サインをいただき、さらにキスまでって随分と欲張りですよね(笑い)。

 もちろん彼は超多忙でしたし、世界各国のVIPでさえもおいそれと会えない本物のスーパースター。結婚証明書にサインしてもらうなんて、そう簡単に話が進むわけはありません。

 当初、個人的にも親しくしていた彼のアシスタントマネジャー、トム・ディスキン氏に依頼したんです。すると、「王女さまとか大統領の娘とかそんな人たちの結婚式にいちいち関わっていたら、5年先までスケジュールが真っ黒になってしまうよ」とあっさり断られてしまいました。

 それも当然です。でも私はある作戦を思いついたのです。その年の1月14日、エルビスは当時、報道番組専用だった人工衛星を使って、全世界36カ国に同時生中継した史上初で最後のチャリティーコンサート「アロハ・フロム・ハワイ」をハワイで行いました。

 日本では午後7時のゴールデンタイムで放送され、2月初めにRCAレコードから同タイトルの2枚組アルバムをリリースしたのです。そのライナーノーツを私が担当。25万枚を超すセールスを記録したので、私がプレゼンターとなって記念のゴールドディスクをエルビスに贈呈することにしてもらったのです。それに夫も便乗して渡米。エルビスが公演中のラスベガスで結婚し、サインしてもらおうというわけです。

 この案にはエルビス側も快諾してくださり、「お相手をお連れください」って。挙式後、その足で控室へ向かいました。だから、彼は胸元がはだけたステージ衣装なんですよ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 2

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  3. 3

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 4

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  5. 5

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  1. 6

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  2. 7

    「べらぼう」大河歴代ワースト2位ほぼ確定も…蔦重演じ切った横浜流星には“その後”というジンクスあり

  3. 8

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  3. 3

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  4. 4

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  5. 5

    やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒

  1. 6

    羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評

  2. 7

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」