吉右衛門休演の舞台 代役・幸四郎に歌舞伎役者の底力見た

公開日: 更新日:

「寺子屋」は、吉右衛門が松王丸、武部源蔵に幸四郎、千代に菊之助、戸浪に児太郎という配役だったが、松緑に代わった。松緑はこれまでも松王丸を演じたことはあるが、回数では源蔵のほうが多い。

 立派で偉そうな松王丸を見慣れているが、本来、この人は仕官先の選択を間違ったがために、ねじれた人生になってしまい、それを解決するには我が子を殺すしかないところに追い込まれた不遇な人なのだ。松緑は単純な英雄豪傑よりも不遇な人物の心情表現に長(た)けていて、松王丸のこうした面がひしひしと伝わった。

 吉右衛門の当たり役のひとつ「松浦の太鼓」は、今回は歌六が主役だった。歌六は何をやってもうまい名脇役だが、主役になると冴えない。そういうものなのだ。

「勧進帳」は、弁慶を仁左衛門と幸四郎が日替わりという趣向で、仁左衛門の日に見た。歌舞伎座で仁左衛門が弁慶を演じる機会は少なく、前回は、勘三郎が富樫だった。そういえば「沼津」も勘三郎と仁左衛門の父子で見たし、「寺子屋」も勘三郎の松王丸で見たし、「松浦の太鼓」も勘三郎は楽しかったと、なぜか、吉右衛門の不在よりも、勘三郎の不在を強く感じてしまった。

作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    北島三郎(2)2018年に次男が急逝「息子だけど、音楽の、とても良い仲間でもあった」

  2. 2

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  3. 3

    中丸雄一「アパ密会」から2年で“冠番組”…禊は済んでも「元のポジション」には戻れないワケ

  4. 4

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  5. 5

    趣里「大空港」視聴率好調も評価は伸び悩み…父・水谷豊「相棒」後継への期待と“日本的な弱点”

  1. 6

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  2. 7

    反町隆史「GTO」は視聴率3%台に…同じ“復活作”でも「プラダを着た悪魔2」と明暗分けた大きな違い

  3. 8

    伝説の『アメリカ横断ウルトラクイズ』来年復活へ 番組を取り巻く環境の激変で日テレに突きつけられた課題

  4. 9

    Snow Man佐久間大介が城西国際大学メディア学部映像芸術コースで培った“強力な武器”

  5. 10

    不倫問題の西武・源田壮亮に同情が集まる意外なワケ…妻・衛藤美彩の“幸せアピール”に疲れ果てた?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(2)2018年に次男が急逝「息子だけど、音楽の、とても良い仲間でもあった」

  2. 2

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  3. 3

    2026年夏の甲子園は「不作」を通り越して“凶作”…プロスカウトが指摘する異変の原因

  4. 4

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  5. 5

    有望高校球児の進路事情に異変! 青学大は「ドラフト指名と同等の価値」「明大より上」とプロスカウト

  1. 6

    SNSで大バズリ! 高市首相の「激ヤバ発言動画」発掘がブームに…中には悪質な切り取りも

  2. 7

    スマスロ『L戦国乙女5』は前評判での「覇権台」が裏目に…ユーザーの厳しい意見に今後のホールの対応は?

  3. 8

    ヤンキースの「横浜・織田翔希獲得プラン」をスッパ抜く! キーマンに挙がる“日本人実業家”の名前

  4. 9

    夏の甲子園投手 プロ注目の4人をスカウト「ガチ評価」最注目の横浜・織田翔希には“意見”割れる

  5. 10

    佐藤輝明「三冠王」なら年俸いくら? メジャー流出阻止へ阪神が用意する破格の条件