松竹とは蜜月でも…歌舞伎座“ジャニーズファン集め”の難関

公開日: 更新日:

 市川海老蔵ジャニーズのV6の三宅健を相手役に招いた、六本木歌舞伎「羅生門」が上演中だ。演出は映画監督の三池崇史。

 もともと歌舞伎は女性客が圧倒的に多いが、今回は95%以上が女性で、男性は私を含めて数えるほどしかいない。三宅健のファンで客席の大半が占められていた。松竹とジャニーズは、滝沢歌舞伎を通して蜜月にある。ともに「男だけの舞台」なので、親和性があるといえばある。

 歌舞伎公演に歌舞伎役者ではない俳優が出ることはいくらでも前例がある。コクーン歌舞伎には笹野高史が欠かせない存在だ。笹野は演技力を必要とされての出演だが、三宅健は集客力を期待しての起用で、これは見事に成功。

 だが、この「羅生門」をきっかけにして、三宅ファンに歌舞伎座へも足を運んでほしいと考えているとしたら、それは無理と思う。

 タイトルが示すように、芥川龍之介の短編を原作としているが、設定を借りただけで、ストーリーはオリジナル。黒澤明の映画とも関係がない。

 海老蔵が「市川海老蔵」として普段着で登場するシーンもあり、三宅健とアドリブで掛け合う。一種のファンサービスでもあるが、この演劇全体が、どこからが虚構なのか、分からないメタフィクションの構造になっている。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」