著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

追悼・松田政男さん 求められる“日付のある映画評”とは

公開日: 更新日:

 映画評論家の松田政男さんが、3月17日に亡くなった。享年87。筆者が、もっとも影響を受けた映画評論家のひとりだ。それは反権力を貫いた執筆活動が、学生運動が活発化した政治の季節のただ中で鋭利な刃のような輝きを放っていたからに他ならない。1960年代後半から70年代にかけてのことだ。

 筆者は学生運動に間に合わなかったシラケ世代なので、70年代前半から彼の評論、書物を読み出したクチだ。反権力とは国家に対するものだけではない。五社(四社)体制の映画界、映画論壇(まだ残っていたのだ)など、いわば映画の既成勢力にも批判の刃は向かった。その文脈で大島渚、若松孝二、鈴木清順監督らを積極的に評価した。

 実は日刊ゲンダイで松田さんについて書くことがとても重要との認識がある。彼が1976年9月2日から長年にわたり映画評を連載していたからである。その初期の文章をまとめた著作「日付のある映画論 松田政男のシネ・ダイアリー」のあとがきにこう記されている。

「(いろいろなメディアで書くなかで)自身がメインの仕事として全力投球しつづけてきたのが、日刊ゲンダイ紙上における週3回の匿名コラムであった~中略~(そこで)転形期の映画状況を撃ちつづけようと企意したのである」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然