著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

「ドラえもん」公開延期…コロナ禍で先の見えない厳しい春

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの感染拡大は、映画界にも広く影響を及ぼしている。公開作品の上映延期と映画館の臨時休館、プロモーション絡みのイベントや試写会などの延期、休止である。具体的な上映延期作品は、先週に「映画ドラえもん のび太の新恐竜」、今週に入ってディズニーの「2分の1の魔法」と「ムーラン」が決まった。

 影響の潮目が変わったのは、2月25日から27日にかけて、イベントなどの自粛、小中高の休校要請をした首相発言からである。小学校が休校になるのだから、「ドラえもん」など子どもたちが観客のメインを占める春興行作品の上映が難しくなった。映画の延期や映画館の休館の流れは、今後も続くかもしれない。

 映画界は今、戦々恐々としている。年配者の足が徐々に映画館から遠のき、春興行の中軸をなす作品も、この時期に公開されないからだ。さらに3月2日、政府の専門家会議が10代から30代の若者にライブハウスなどへの出入りを控えることを求めた。その範囲が映画館に及んでもおかしくない状況ができた。

 すでに小中高の若者を入場制限するシネコンも出ている。これは、先の休校の措置と連動している。おそらく、その世代の若い人だけの話ではなくなるのではないか。映画館に来てもらいたいが、その場で感染を拡大させてはならない。両者のはざまで、気持ちがかき乱されている筆者である。

 この3月から4月にかけて、映画界はかつてない厳しい事態を迎えることだろう。もちろん、これは映画だけの話ではない。観客の方々には安全、安心な状態で映画を見に来ていただきたい。その日が、とにかく早く来てくれ。筆者はこれからもマスクをつけて映画館に行き、行方を見守るつもりである。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  2. 2

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  3. 3

    N党・立花孝志容疑者にくすぶる深刻メンタル問題…日頃から不調公言、送検でも異様なハイテンション

  4. 4

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  5. 5

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  1. 6

    高市首相「議員定数削減は困難」の茶番…自維連立の薄汚い思惑が早くも露呈

  2. 7

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 8

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然

  4. 9

    高市首相は自民党にはハキハキ、共産、れいわには棒読み…相手で態度を変える人間ほど信用できないものはない

  5. 10

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗