著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

「ストレス」嫌いな言葉。使わないようにしている。

公開日: 更新日:

「どうすれば脚本家や小説家になれますか?」

 作家志望の青年の相談に乗る羽目になったのだが――。

 ☆  ☆  ☆ 

 今日も青年から恒例のメールが届く。

〈質問① 小説などを書いていてストレスが溜まると思うのですが、おすすめの発散方法があれば教えてください! ※お忙しいと思いますので、質問のお答えは短くて結構です〉

 もはや1日1回来る(しかも質問されながら答えは簡潔でいいとなぜか命令される)君のメールがストレスだ、とは大人なので言わない。が、「ストレス」と言われてもわたしにはストレスがない。いや、あるにはあるのだろうが、「ストレス」という言葉は使わないようにしている。嫌いな言葉なのだ。言葉っていうのは恐ろしいもので、使えば使うほど妙な意味を持ち体に侵食してくる。まさにこの青年のように、「発散せねば」と強迫観念のようになる。これが嫌。外道なことをなりわいにしているわたしは、まず仕事があるというのはありがたいわけで、それにプレッシャー=圧がないと何も燃えないタチなので、えたいの知れぬ何かを肩こり腰痛にのせて、最後、書いている小説に「了」と打ちたいのである。了、と打った瞬間だけが至福であって、もしかしたらそこで発散しているのかもしれないし、逆にそこでしか抜けない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」