ジャルジャル福徳が作家デビュー“胸キュン”筆致の実力は?

公開日: 更新日:

 主人公の小西徹は、関大に通う2年生。しかし大学にいまだ馴染めず、友達は方言を隠そうとして変な大阪弁を使う山根という男と、深夜の銭湯掃除のバイト仲間のさっちゃんしかいない。人目を避けるため学内では日傘をさして、楽しそうな学生グループを妬む日々。そんな“イタい奴”小西が、ある日恋に落ちる。相手は、授業が終われば教室を一番に出て行き、学食で一人、ざるそばをすする逞しい女の子・桜田さん。小西は彼女に運命を感じ、何とか話しかけることに成功。初デートにも行くのだが、次の約束に彼女は現れなかった。その理由とは――。物語は思いがけない方向に加速していく。

ジャルジャル」のコントにも通じる、愛嬌のあるキャラクター作りはさすが。承認欲求と自意識の塊のような小西は、恋に関しても思い込みで突っ走る。女子の気持ちはそっちのけで、自分が傷つくことばかりに敏感なので辟易する部分もあるのだが、おばあちゃん子で根はいい奴という設定が効いており、なんだかんだ応援してしまう。親友の山根も、デートをすっぽかされてやけっぱちになった小西に八つ当たりされても彼を守ろうとする「正しい熱さ」の持ち主だ。ベージュのロンTにベージュの長ズボンを合わせるような最悪のファッションセンスというのも、いい味を出している。また、高校時代の軟式野球部の思い出など、じわっとクスッと笑えるエピソードも巧みだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋