女優・山村美智さん フジテレビの仲良し5人「モダン会」と大磯で撮ったスナップ

公開日: 更新日:

山村美智さん(女優/65歳)

 バラエティー「オレたちひょうきん族」の「ひょうきんベストテン」で女子アナとして初代MCを務め、数々の番組で活躍後、フリーに転身した山村美智さん。夫の「ミスター・フジテレビ」といわれたテレビマン、宅間秋史さんが惜しまれながら昨年12月に他界したが、思い出の写真は宅間さんと結婚する前、お仲間と撮ったスナップの一枚。夫の闘病や看病の日々、エピソードを赤裸々に、時にはユーモアをまじえてつづった著書「7秒間のハグ」(幻冬舎)も話題だ。

  ◇  ◇  ◇

 写真は「モダン会」というフジテレビ仲間のメンバーと1982年に大磯で撮ったものです。左から秋史、永山耕三さん(「東京ラブストーリー」「ロングバケーション」などの演出家)、私、フジ・メディアHD副会長の遠藤龍之介さん、寺尾のぞみさん(ニューヨーク在住)です。

 私が「オレたちひょうきん族」に出演し始めた時に、同期入社の亀山千広さん(BSフジ社長)がいる編成部にしょっちゅう行っては話していました。彼はバラエティーをやる私を励ましてくれていました。

 その編成部にたまたま用事で来ていた秋史とゴルフの話になり、「じゃ教えてあげるよ」と言われて練習場に行ったんです。その時に永山さんも来て。3人で食事をするようになると、同じく彼の同期の遠藤さんも参加し始め、次にワイドショーのスタッフだった寺尾のぞみさんも加わり、5人で出かけたり飲んだりするグループができていったんです。

■遠藤周作は対抗して「クラシック会」

 なぜ「モダン会」と古くさい名前をつけたのか今となっては忘れましたけど、そのネーミングを(遠藤)龍之介さんから聞いた彼のお父さまの遠藤周作先生が対抗して「クラシック会」をつくったようです(笑い)。

 5人で旅行したりパーティーをしたり。写真は大磯に出かけた時。会えば楽しい時間を過ごせましたし、当時は私が一番忙しかったので、まだ暇な部に所属していた男性たちは電話するとすぐ集まってくれました。

ドラマプロデューサーだった夫の宅間秋史さんは1年前に死去

 秋史さんと結婚したのが写真から2年後の84年。その翌年に山村さんはフジを退社してフリーになり、女優として活躍した。秋史さんは編成プロデューサーとしてドラマ「もう誰も愛さない」「29歳のクリスマス」をはじめ、大人気のトレンディードラマを手がけ、映画部に異動後「GTO」や「ウォーターボーイズ」などの映画をヒットさせた。結婚生活が35年に及んだ2年前……。

 秋史に食道がんが見つかったのが19年。彼はくよくよしない、おおらかな人ですし、私も周りも最初は「全然大丈夫。すぐよくなるよ」と思っていました。

 夫は結婚1カ月後に編成に異動してからすごく忙しくなったし、お酒をよく飲み、ヘビースモーカーでした。家ではストレートでスコッチとか強いお酒を寝る前に飲んでいて、喉から食道に滞留してしまうからよくなかったのですね。

「治るはずなのに、おかしい、おかしい」と思い始めた翌20年の夏以降はどんどん悪くなって。人を包み込むような性格の人なのに、次第にギスギスするようになり、人に相談すると「がんは性格もむしばんでいく」と言われました。夫も痛みでつらかったり、「治る」と思っていても自分の体が変わっていくことに焦りがあったと思います。当たる人が私しかいないので、いつもユーモアを交えて話していた人が変わっていく様子は見て取れましたね。

 でも、ある日、喉に当てるとしゃべる声が何となく聞こえる機械を使ってしゃべってくれた時に「ミッチャンガ、ガンバルカラ……ボクモ、ガンバル」と言ってくれて。私が一生懸命に看病している姿を見て、自分も頑張ろうと思ってくれたのだと思います。

 20年12月に残念ながら死去。山村さんにとって「モダン会」のメンバーが大きな支えになっていたという。

 同じ女性ののぞみはずっと支えてくれたし、耕三さんも龍之介さんも私を支えてくれました。みんなで集まって39年後にモダン会をやれた時、写真にある大磯のことも話しました。

 本のタイトル「7秒間のハグ」は7秒間ハグするとオキシトシンという幸せホルモンが出ると夫が抗がん剤治療をしていてまだ元気だった頃に言ったんです。ハグは結婚後から出かける朝などに必ずしていたのですけど、夫にそう言われてからは病室から私が帰る時にちゃんと7秒間ハグしていました。

 私が本を書いたのは夫の生きざまを知ってほしかったからです。彼は本当に器の大きい人でしたし、隙があれば面白いことを言おうとする人でしたから、つらかったことだけじゃなくてユーモアのあるやりとりも書きました。

 女性だけでなく、働き盛りやリタイアされた男性の方が読んでくださっても共感していただけるかと。もう一度パートナーを大切にしようと思っていただけるとうれしいです。

 (聞き手=松野大介)

▽やまむら・みち 1956年11月5日生まれ、三重県出身。80年にフジテレビ入社。退社後はフリーで活動。女優としてドラマに多数出演。

■発売中「7秒間のハグ」(幻冬舎)「ミスター・フジテレビ」と呼ばれた夫を愛し抜いた女優の絶望と再生の物語。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  2. 2

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 3

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  4. 4

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  5. 5

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  1. 6

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  2. 7

    森下千里氏が「環境大臣政務官」に“スピード出世”! 今井絵理子氏、生稲晃子氏ら先輩タレント議員を脅かす議員内序列と評判

  3. 8

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  4. 9

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  5. 10

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々