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増位山太志郎元大相撲力士

1948年11月、東京生まれ。日大一中から一高。初土俵は67年1月場所、最高位は大関。引退は81年3月場所。引退後は日本相撲協会で審判部副部長を務めた。74年「そんな夕子にほれました」、77年「そんな女のひとりごと」などがヒット。画家として二科展入選の常連。「ちゃんこ増位山」(墨田区千歳)を経営。

<18>6年前に相撲部屋の土俵そのままのちゃんこ屋を始めました

公開日: 更新日:

 今回は「ちゃんこ増位山」の話を。

 1981年の3月場所で引退し、日本相撲協会で2012年まで長い間、審判部副部長を務め、13年に定年退職しました。三保ケ関部屋は9代目の親父が辞めた後、10代目を継ぎましたが、それも13年になくなりました。

 三保ケ関部屋は森下のここ(墨田区千歳)が稽古場でした。横綱北の湖や大関北天佑も稽古した縁起がいい土俵なので、つぶすのは忍びないと思っていたら、田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)から「貸してくれないか」という話がきました。当時、田子ノ浦部屋には稀勢の里高安がいました。

 協会を辞めたし、ここには風呂もある、食器も揃っている、米もまだいっぱい残っている。「じゃあ、いいよ」といって1年間貸しました。綱とりに挑戦した稀勢の里も、優勝争いをした高安も1年間はここで稽古して強くなりました。

 1年後、田子ノ浦が新しく部屋を建てて移っていき、どうしようかと思っていたら息子がちゃんこ屋をやりたいと言いだした。以前からそのつもりだったのかもしれませんね。僕にとってもシメシメでしたけど(笑い)。

 息子は最初、広告代理店に勤めていたのですが、食べものに興味があって途中で辞めて、イタリア料理とかフランス料理、居酒屋なんかで働いて、いつの間にか調理師免許も取っていました。

 ちゃんこ屋なら、この稽古場、土俵を残したままでできる。これもたまたまだけど、娘の結婚相手がリフォームなどで受賞もしている建築士なので、1階をちゃんこ部屋風に設計して改装すればいいとなって、15年に「ちゃんこ増位山」を始めました。40~50人くらいは入れる大きさです。

 経営は僕の本名のサワダ企画、店主は息子がやっています。ちゃんこ屋だからといって、にわか土俵をつくってやっている店はあっても、本物の土俵があるちゃんこ屋はそうはないからお客さんに喜んでもらえます。

北の湖、稀勢の里などの血と汗がにじんだ由緒ある土俵

 しかも、北の湖さんや北天佑、稀勢の里、高安の血と汗がにじんだ由緒ある土俵です。ここまで運ぶのも並べるのも大変なので、倉庫にしまってあるけど、記念の品もたくさんあるんですよ。

 息子は生まれた時からちゃんこを食べて育ったから、味が体に染み込んでいるし、イタリア料理からフランス料理、和食、焼き鳥まで勉強したから味にうるさい。いい味出していますよ。ちなみに、ちゃんこの鶏は僕の小中高の同級生がやっている築地の老舗の鶏専門店から朝引きの鶏を仕入れているので、とても新鮮です。彼は日大一高時代は同じ水泳部でマネジャーをやっていました。人気なのは「鶏つくね醤油ちゃんこ」。実は17年から5年連続でミシュランガイド東京のビブグルマンも獲得しています。

 店は去年からコロナで予約のキャンセルの連続でした。せいぜい入っても2、3組のカップルだけ。それじゃやっていけないし、仕入れをして従業員も確保するとなると店を開けただけ赤字になるので、9月まではお休みしました。

 緊急事態宣言も解除され、感染者も減って、今は平常通りにやっています。以前のような活気がやっと戻ってきました。=つづく

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ

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