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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

ずっと「なりすまし」誰もが知るタモリは正体がよく分からない稀有な存在

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 そして彼女はまだ半分素人のタモリを自分の番組(「徹子の部屋」だと言われているが、まだこの時期は始まっていないため、実際にはNETテレビの「13時ショー」だろう)にゲストとして出演させた。77年からは「徹子の部屋」に一流芸人かのようになりすまして出演し始め、以降36年間にわたり年末恒例のゲストとなっていた。

 30歳という遅いデビューを果たした彼は「どうやって本流にすわーっといって同輩ヅラ、また先輩ヅラするかっていうのが70年代の一大命題だった」(ニッポン放送「われらラジオ世代」2013年10月24日)と回想するように、昔からいる芸人になりすました。すると、デビューわずか5年の新人にもかかわらず「お笑いスター誕生!!」(日本テレビ)の審査員に抜擢。時には自分より芸歴が長い相手に対しても「偉そうに」審査していた。

 31年半もの間、日本のお昼に君臨した「笑っていいとも!」(フジテレビ)にしても本来、アングラ志向の強いタモリが「お昼の顔」になりすましたのだ。タモリの本質が「なりすまし」にあることは、番組内容に口を出さないタモリが、ほぼ唯一企画から参加した番組「ヨルタモリ」(フジテレビ)で、ジャズ喫茶の店主「吉原さん」など常にさまざまな人物になりすましていたことからも明らかだろう。

「密室芸」を駆使するアナーキーな芸人から、「昼の顔」「趣味に生きる好々爺」と自在にそのイメージを変えていったタモリ。それゆえ、彼には掴みどころがない。誰よりも存在は知られているのに、その“正体”はよく分からないという唯一無二のタレントになったのだ。

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