著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<176>遺言書の裁判では切り札にならないが、筆跡鑑定は重要

公開日: 更新日:

 1審判決では、長男の遺言書が後に書かれたと認められて勝訴、これに対し三男の妻が遺言無効の訴えを起こした。その際に筆跡鑑定で頼ったのが、筆跡学の権威で神戸大教授(現在は名誉教授)の魚住和晃氏であり、長男側が頼ったのは科捜研のOBであった。警察のプロ対アマチュアの戦いとも言われたものだ。

 魚住氏は1997年5月に起きた神戸児童殺害事件で、当時14歳の少年Aが神戸新聞社に送った犯行声明文の解析をしてくれと同社から依頼された。当時は犯人像を30歳ぐらいとする報道が多かったが、「狂気が含まれるこの声明文を書いたのは真犯人であり、難しい漢字を使っているがそれはカムフラージュのためで犯人は幼い年齢であろう」と見事に看破したことでも知られている。

 魚住氏は字体を科学的に検証し、布の書き順や「喜」という字の頭の「士」が「土」となる先代特有のくせなどを見いだした。そのほか、布の最初の2画「ナ」の書き順が三男が所有していた遺言書と一致していることなど、三男が預かっていた遺言書が本物で、長男のものは偽造であるという鑑定を提出して、裁判ではそれが支持されたのである。

 今回も野崎幸助さんの遺族である原告側は、筆跡鑑定の神様とも言えるような魚住先生に遺言書の鑑定を依頼したのであった。それは田辺市側の「いちゃもん」に端を発している。田辺市は寝た子を起こしてしまったのである。(つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  2. 7

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  3. 8

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?