【追悼】新川二朗さんが生前語っていた、ベテラン歌手ならではの豪快逸話の数々
バクチ好きのフランク永井さんとの思い出もある。たまたま岡山の仕事に出かけ、新幹線でばったり会って、そのまま旅館へ。その日は飲みっぱなしで一晩中ポーカーに興じ、朝の9時まで付き合わされた。フランクさんのマネジャーに「いい加減にしてください」と怒られてもやめなかったという。なんとも羨ましい話、時代だった。
時は流れ、平成の世になって、新川さんがハマっていたのは石川さゆりの「天城越え」だった。照れ屋で飲み屋では自分の歌を歌いたくない。それで銀座の初めての店に行った際、ママに「私の誕生日だから」とせがまれ歌ったのが「天城越え」だった。歌い終わるとホステスたちがやってきて「感動しました」と大喜び。以来、十八番になったという。
昭和はますます遠くになりにけり。
(文=峯田淳/日刊ゲンダイ)