「縄文 革命とナショナリズム」中島岳志著
「縄文 革命とナショナリズム」中島岳志著
第2次大戦終戦翌年の1946年、在野の考古学者、相沢忠洋が打製石器を発掘、日本に旧石器時代があったことが明らかになった。47年には登呂遺跡の発掘が行われる。日本が敗戦から立ち直るには、日本の伝統を再定義することが必要だった。
51年、「日本古代文化展」が開催された。パリ留学でアバンギャルド芸術に出合った岡本太郎は、縄文土器を見て全身が震えるほどの衝撃を受ける。こんな凄い造形が太古の日本にあったのか! 岡本は獲物と儀礼が混然一体となったおどろおどろしい存在を、日本美術の原初ととらえた。民芸運動を提唱した柳宗悦や濱田庄司も、縄文の中に「本当の美」を見いだす。
戦後の芸術家、思想家らが「縄文」に何を投影したかを検証する。 (太田出版 3080円)