著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(37)今ふと思った。乗馬中の大ケガで帰京したのは、馬たちがわざと…

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 作家・増田俊也氏による新連載スタート。各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。第1弾は写真家の加納典明氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「それでムツゴロウ動物王国へ行くわけですが」

加納「はじめは仕事で行ったんです、『畑正憲*の写真撮ってくれ』って。それで畑さんやら動物やら風景撮って、そのときに『いいところですね』って俺が行ったら『来るかい』と言われて『はい』で決まっちゃった。すぐに東京戻って準備して家引き払った。そして家族総出で横浜港から船で北海道へ渡ったの」

※畑正憲(はた・まさのり):作家。ナチュラリスト。愛称ムツゴロウ。1935年福岡県に生まれ、幼少期を満州で過ごす。東京大学理学部生物学科大学院修士課程中退。学研映画で科学映画の制作に携わった後、エッセイ集『われら動物みな兄弟 愛と生命の科学』でデビュー。1970年代に北海道に移住して無人島に住み、その後「動物王国」を設立するなどした。著書多数。2023年、87歳歿。

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