相続で過度な節税対策は逆効果…かえって課税額が増えるケースも
高齢化が進み、団塊世代がリタイアする中、相続・事業承継関連ビジネスが花盛り。しかし、相続税の節税対策に税務当局の厳しい目が向けられ始めている。
「これまで合法的とみられていた節税対策であっても、行き過ぎた節税については租税回避とみなされ、課税評価額が引き上げられるケースが増えている」(メガバンク幹部)というのだ。
たとえば、被相続人と相続人が銀行から借り入れして賃貸用不動産を購入することで、相続財産の評価額を下げる手法は、「不動産の路線価と実勢価格の差を活用した節税策」(信託銀行幹部)
として広く知られているが、評価額の差があまりに大きく、租税回避の意図があると判断された場合は、課税当局から「他の納税者との公平性の観点から見て不適切」として否認されるケースが増えているという。
また、事業承継に伴う株式の相続では、経営者が保有する自社株の相続額は、国税の“宝刀”と呼ばれる「財産評価基本通達総則6項」に則して算出されるが、直前期末や直前前々期末などの一定期間において、1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3つの要素のうち1つの要素のみプラス計上されている会社は、原則として純資産評価方式で株式の評価額が決められる。