「国籍のゆらぎ、たしかなわたし」木下理仁編著

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「国籍のゆらぎ、たしかなわたし」木下理仁編著

 フォトジャーナリストの安田菜津紀は、中学2年のときに父を亡くした。その後、海外渡航のためパスポートを申請しようとして、父が在日コリアンだったことを知り、父がルーツを隠そうとした理由を探る旅を続けている。

 韓国領事館で父の「除籍謄本」を確認したら、韓国には父の痕跡はなかった。国籍の変更手続きで、何か間違いがあったのかもしれない。父は事実上は「無国籍」状態だったので、安田が生まれた際に、日本国籍を取得するのに時間がかかった。朝鮮の人たちは、日本が朝鮮を植民地にすれば「日本人」にされ、戦争が終わると今度は「外国人」にされ、自分の意思とは関係なく国籍がころころ変わったのだ。

 ほかに、サヘル・ローズなど7人の体験をもとに「国籍」について考える。 (太郎次郎社エディタス2200円)

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