中国で大ヒットの映画「1950 鋼の第7中隊」単なる愛国プロパガンダではない理由と見どころ
コロナ禍の激変で、アメリカ(北米)に代わり世界一の映画市場となった中国。そんな中国市場で、日本円にして1130億円以上という歴代ナンバーワンの興行収入を記録した大ヒット映画が公開中だ。朝鮮戦争における激戦「長津湖の戦い」を描いた戦争スペクタクル「1950 鋼の第7中隊」がそれで、けた外れのスケール感を映画批評家の前田有一氏が驚きとともに語る。
「製作費はマーベル映画などハリウッドの超大作にも匹敵する約270億円だそうです。ただし中国映画は人件費等が安いため、同額ならば規模感はさらに上といわれます。くわえて本作には中国政府の全面協力があり、人民解放軍などから派遣されたエキストラが7万人も集まるなど、他国には真似できないものがあります」
舞台は1950年の朝鮮半島。中国人民志願軍、第七連隊の中隊長・伍千里(ウー・ジン)は、国に残してきた老親のため、同じく従軍する弟の万里(イー・ヤンチェンシー)を何としても生還させようと奮闘する。しかし圧倒的装備を誇る米軍が待ち構える長津湖の決戦は、予想を上回る苛烈な戦闘となるのだった。