著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

「後ろめたさ」こそが文学 鬼才・林真理子の真骨頂とは

公開日: 更新日:

「日本の作家だと誰を読んでます?」

 初対面の相手に趣味を問われて読書と答えた時の第2問として、最もポピュラーなもののひとつだろう。回答には、ある程度以上の著作数がある作家、さらに言えば現役作家であることが望ましい。

 だが、ときに自分も訊く側に立つからこそ、この質問を受けるたびにぼくは慎重になってしまう。何(愛読書)ではなく誰(作家名)と訊く場合、回答者のたんなる趣味というより、人となり、あるいはその先の生活や政治の信条をも問う意図が多分にあるからだ。

 先日もそんな場面で口ごもっていると、思いがけず第3問が飛んできた。「じゃあ一年三百六十五日で最も多く触れている作家は?」。すると、自分でも拍子抜けするほどあっさりと名前が口を衝いて出てきたのだ。

「それなら林真理子さんですね」

 理由は簡単。ぼくが数十年定期購読してきたいくつかの週刊誌で、林はエッセイや対談を長期連載している。定点観測と呼べる感覚で彼女の言葉に触れてきたのである。加えて今年7月には日本大学理事長に女性として初めて就任し、メディアに頻繁に登場しているという事情もある。ぼくにとって、林真理子ほど「触れる」機会の多い作家はいない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲