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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

無欲と捨て身が混じり…とにかく明るい安村の「笑われる芸」に漂う奇妙な哀愁

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 以前から安村のネタを見ると、「泣ける」と最大限の評価をしていたマツコ・デラックスは「安村ちゃんって世界で一番ウケない国、日本なんじゃない?」(日本テレビ系「マツコ会議」23年5月13日)と笑う。

 チョコレートプラネットの長田が安村について「自分の魂を削って、やってる感が伝わる」「必死になんとかしようと、もがいている姿に芸人として心打たれる」と安村を評すと、マツコも深く同意。その上で、かつては「『笑われる芸』がメインだった」が、今の時代は「『笑わせてる』が基本」と分析し、「懐かしさ」を感じさせる安村の芸風に「笑われるのって、笑わせるのと同じくらい才能」と賛辞を送った(同前)。

 そんな安村は「将来の夢とか目標がひとつもない」と吐露する。「俺の実力からしたらもう十分。だからその先どうこうがまったくない」と現状に満足しているのだと(同前)。その将来に対する無欲さと、その場、その場で必死にもがく捨て身の姿とが合わさり、奇妙な哀愁となって、安村の芸は見ている者の胸に響くのではないか。

「ブリテンズ・ゴット・タレント」でのパフォーマンスを見て、早速ルーマニアからもオファーが届いたそう。いよいよ、世界中で彼の勇姿を見せるのかと思いきや、安村は断ったという。「一緒ですよ、イギリスと。何をするんですか、ルーマニアで。お土産も何を買えばいいか分からないし」(「ワイドナショー」=前出)と笑った。

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