甲本ヒロトは還暦の今も初期衝動を歌に…叫び続ける「ドブネズミ」の現在地

公開日: 更新日:

「いなくなったことは大したことじゃない」

 松重はドラマ「孤独のグルメ」シリーズやCMで活躍中の売れっ子なのは中高年世代にもお馴染み。甲本も「ザ・クロマニヨンズ」として、いまも真島とともにステージに立ち、ツアーを展開している。

 11月は、新宿ロフトで行われたシーナ&ロケッツのバースデーライブにスペシャルゲストとして出演。ボーカルのシーナにつづき、ギター鮎川誠もことし1月に亡くなってしまったが、甲本は大きな影響を受けたシーナ&ロケッツについて、ドキュメンタリー映画でこうコメントをしているそうだ。

「いなくなったことは大したことじゃない。いたってことが重要なんだ」

 甲本は、多くの語録を残しており、ブルーハーツ時代の「ドブネズミの詩」など、書籍化もされている。それは「クロマニヨンズ」として活動中の現在も変わらないようだ。構成作家のチャッピー加藤氏が言う。

「自分の思ったこと、心に浮かんだこと、初期衝動を歌にするという姿勢は、デビュー以来一貫しています。『曲を書いて、演奏して、歌うだけ。だってそれしか取りえがないから』とよく語っていますが、自分に嘘をついていない。だから、聴いている人の胸にダイレクトに響くのでしょう」

 ラジオにゲスト出演してもらった際、甲本はこう言っていたという。

「自分が聴いてたロックは、たとえばセックス・ピストルズにしても『元気出せ』みたいな歌詞じゃなくて、『オマエラに未来なんかない』って歌詞だった。わけが分からない曲もあったけど、そういう曲を聴いて元気が出たんだよね。自分も、そういう『元気出せ』という歌を歌っているわけじゃないけど、『聴いて元気が出た』という声があると、とてもうれしいです」

 コロナ禍によってできなくなっていたライブも再開。この秋のステージでは「オーライ、ロックンロール」と叫んで歌い出し、こう観客に呼び掛けたそうだ。

「アホみたいに騒いで帰ってくれ。今日は宇宙で一番すげえ夜だから」「僕は君たちのことは全然好きじゃないけど、愛してるよ」

 年齢を重ねても、社会がどうなっていっても、好きなロックに全力で、叫び続ける。そんなポリシーを貫く姿勢に全く変わりはない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

  2. 2
    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

  5. 5
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  2. 7
    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

  3. 8
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  4. 9
    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

  5. 10
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?