ギタリストCharさんは小学生で「品川の質屋で買ったフォークギターにエレキの弦を張って弾いた」

公開日: 更新日:

Charさん(ギタリスト/68歳)

 日本を代表するギタリストとして真っ先に名前が挙がる人といえば、この人、Charさん。音楽ファンにとっては憧れの存在だ。Charさんがギターを始めたきっかけ、ギタリストとしての転機になったのはザ・ベンチャーズ、エリック・クラプトンとの出会いだった。

 ◇  ◇  ◇

 僕がギターを始めるきっかけになったのはザ・ベンチャーズです。そういう意味では、ベンチャーズさえ日本にやって来なかったら、マジメな人生を送っていたかもしれない(笑)。

 一緒の部屋で住んでいた5つ上の兄が東京五輪があった1964年、ベンチャーズのレコードを買ってきて。当時、ギターを持ってる人の写真を見れるのはフォークギターを持っているエルビス・プレスリーのジャケットくらい。ところが、ベンチャーズはエレキギターを持ってる。名前はラジオを聴いて知っていたし衝撃的でしたね。

「ダイアモンド・ヘッド」か「パイプライン」を聴いた時だったかな。なんじゃこれは、みたいな感じ。クラシックギターなら、テケテケテケテケなんてやっていいわけがないわけだし。こんな音が出せるのかとそれは驚きでした。

 それまでバンドというとジャズバンド。楽器はトランペットやピアノとか。ギターには光が当たっていなかった。ところが、ベンチャーズを聴いたらこんな音が出せる……。アポロが月面に着陸し、宇宙を意識した時代です。彼らの音楽に未来を感じました。ギターにアンプがつながっている感じがロボットっぽく、未来っぽいというのもあったかな。

 小学校1年からピアノを習わされました。ピアノは男の子がやるものじゃないって思ってたし、家にピアノもないのに習わなきゃいけないのが嫌で。兄貴はというと、中学から帰って来て自由にギターを弾いている。本当に羨ましかったですね。

 ある時、母親が「ブルーチップが1万5000点たまったから、あんたたちの好きなものを選びなさい」というわけ。例えば、兄貴が1万点で僕が5000点とかで。なぜか景品の楽器コーナーの中にフォークギターがあって、兄貴は見るなりこれだと。でも、ギターは全部のポイントを使わないともらえない。それで兄貴は2人で共有するからということでギターを取ったんです。

 ただ兄貴は陰険な人で、ギターを弾いた後は送られてきた段ボールにしまっちゃうの。触ったら殺すぞって(笑)。一度触ったのがバレて「おまえはピアノを弾いていればいいんだ」と言われた時は悔しかったですね。でも、その兄貴のおかげで、バイトして買ってきたアルバムをまた聴きできたし、センスがいいものを聴くことができた。

 僕はギターは質屋で買いました。当時は質屋にギターがいっぱい吊るされていた。猫も杓子もエレキを買ってみるかみたいな時代。F(コード)が弾けなくてやめていった人たちが質屋に入れたギターが数千円で売られていた。僕は品川中の質屋に行きました(笑)。買ったのは2000円か2500円のフォークギター。それにエレキの弦を張って弾いていた。エレキはアンプも必要だし高かったですからね。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  2. 2

    悠仁さま筑波大進学で起こる“ロイヤルフィーバー”…自宅から1時間半も皇族初「東大卒」断念の納得感

  3. 3

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  4. 4

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 5

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  1. 6

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  2. 7

    中山美穂さん急死、自宅浴槽内に座り前のめり状態で…大好きだった“にぎやかな酒”、ヒートショックの可能性も

  3. 8

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  4. 9

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  5. 10

    【独自】急死の中山美穂さん“育ての親”が今朝明かしたデビュー秘話…「両親に立派な家を建ててあげたい!」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか