六月大歌舞伎は「菊五郎2人制」に「6代目時蔵」誕生と見どころ満載! 中村獅童の子供たちの初舞台にも注目

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 夜の部「山姥」は萬壽と孫の梅枝の襲名披露。こちらは明朗な舞踊劇で、梅枝の門出をにぎやかに祝う。劇中口上は菊五郎の発声。梅枝は、昼も娘役で出ていて、夜は元気な男子・怪童丸なので、対照的な2つの姿を見せ、将来を期待させた。

 獅童は昼と夜それぞれで主役をつとめているが、昼の部の「上州土産百両首」が圧倒的にいい。もっともこれは、相手役の菊之助が見事だからで、それにひきずられて、獅童も「情」をうまく出せている。最近の菊之助は主役を演じられる立場でありながら、あえて相手役・敵役にまわっている。今回も、人はよいが頭が少し弱い役で、わざとらしくなりがちなところを、ナチュラルに演じている。

 一連の非・主役路線は、主役をやれる自信のあらわれでもあるが、たしかに「いまの歌舞伎」に欠かせない役者になってきた。どういう菊五郎になるのか、楽しみだ。

「魚屋宗五郎」での獅童はこの悲劇をドタバタ劇にしてしまっている。それでも芝居として成立しているのは、おはまを演じる七之助のおかげだ。萬壽から習ったと語っているが、本当に萬壽が出ているのかと思うほど。それでいて、後半になると、七之助ならではの軽やかさで、芝居全体をどうにか締めていた。獅童は昼夜とも、共演者に助けられた。

(作家・中川右介)

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