鈴木涼美(作家)ダイエットのお供として読み始めパンを注文
6月×日 昼食の約束があり、明治公園内のレストランで高橋源一郎著「食べる本」(河出書房新社 1650円)を読んで待っていると、4カ月ぶりに会う女友達が2人同時に現れた。2人とも、地元の子育て広場で知り合った人生初のママ友で、生後半年で子どもを保育園に入れてからは年に数回、こうやって近況報告がてら会っている。1人に「なんか顔が小さくなった」と言われた。妊娠中21キロ太った私は産後さらに5キロ太り、授乳を言い訳にそのまま1年半過ごした。
先月、女が美貌によって「おひつじ」から「うお」までの12等級にランク付けされる世界を描いた遠野遥著「吸血鬼」(集英社 2420円)を読んでいる最中に急に体型が気になりだし、景気づけに顔にボトックス注射を打ち込んで、夕食だけ1歳半の娘と同じ量にしている。
そのダイエットのお供として読み始めたのが「食べる本」だ。急に太ったという著者が実際に体重を戻すまでの生活をつづったダイエット本としても読めるが、それを機に身体や食や料理について考えた記録でもあり、あらゆる食や身体に関する本の引用満載の、言葉を食べる本でもある。氏の本を読むと毎回20冊は読みたい本ができるが、今回は読みながらパンやオートミールもネット注文してしまった。
ちなみに店のランチは薪火調理のメインを選べる御膳で、私は豚の肩ロースを選び、ワインを1杯飲んだ。夕食以外は好きなものを好きなだけ食べる。日本が未だ世界に誇れるのは、おいしくて安いことしかない。
6月×日 大雨警報が出ていたので娘は保育園を登園自粛。家の中を駆け巡る怪獣といるのは楽しいが、仕事は何も進まない。積み木を大量にぶちまけたかと思えば絵本を大量に持ってくる。彼女は谷川俊太郎が好きで、最近毎晩持ってくるのが「ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ」(クレヨンハウス 1980円)。私は小室ファミリー楽曲の最高に無意味な歌詞が大好きだが、それを超えるほどの無意味な音の羅列を、こちらはすっかり暗記してしまった。NHK「いないいないばあっ!」を見せている隙に、コーヒーを入れてローベルト・ゼーターラー著「名前のないカフェ」(新潮社 2255円)を読んだ。戦後のウィーンが舞台だが、物価高や円安で非常に貧乏くさい気分なので、貧しい人々が小さなカフェで孤独を寄せ合って生きる姿は非常に身につまされる。



















