著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

「魚」を食べる習慣は認知機能の低下を緩やかにする

公開日: 更新日:

 2026年に発表された最新の学術論文から、私たちの食生活に欠かせない「魚」と「脳の若さ」の密接な関係についてお話しします。世界的な高齢化に伴い、認知症患者は2050年までに約1億5300万人にまで増えると予測されています。認知症はアルツハイマー型だけでなく、血管性の要因も大きく関わっており、日々の食習慣がその予防の鍵を握っています。

 最新の研究では、魚の摂取と認知機能に関する25件の調査データを詳細に分析しました。その結果、週に1~2回以上の頻度で魚を食べている人は、認知機能の低下が緩やかであることが示されました。特に情報の「処理速度」や、計画を立てるなどの「実行機能」、そして「記憶力」の維持において、魚を食べる習慣がプラスに働いていることが明らかになったのです。

 では、なぜ魚がこれほどまでに脳にいいのでしょうか? 最大の理由は、魚に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)にあります。これらは脳の神経細胞の膜を構成する重要な成分で、情報の伝達を速める「髄鞘」の安定性を高め、脳内の炎症を抑える役割を担っています。さらに、魚は単なる脂の供給源ではありません。ビタミンD、セレン、ヨウ素、ビタミンB群といった、神経の修復や血管の健康維持に不可欠な栄養素をバランスよく含んだ「天然の栄養カプセル」と言える存在です。こうした栄養素が相乗的に働くことで、サプリメントで特定の成分だけを取るよりも高い効果が期待できると考えられています。

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