著者のコラム一覧
スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966-2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。

「洋楽やりたいねん!」の原点とスピリット

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シングル「おまえがパラダイス」(1980年12月23日発売)③

 楽曲「おまえがパラダイス」について興味深いのは、同日発売の「G.S. I LOVE YOU」という、タイトルからして「GS」に向けられたアルバムに収録されているにもかかわらず、楽曲そのものがまったくグループサウンズ(GS)的ではない点だ。

 メジャーキーのロッカバラード。「ロッカバラード」とは「♪ツツツ・タツツ……」という、ゆったりとしたリズムで出来たバラードのこと。ビートルズで言えば「オー!ダーリン」(1969年)とか、ローリング・ストーンズで言えば、沢田研二のいたザ・タイガースがよくカバーした「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」(64年)とか、あの系統のリズムである。

 ここで重要なのは、ロッカバラードの有名曲が、GSにはあまりないこと。

 GSのヒット曲といえば、リズムでは「♪ツツタツ・ツツタツ……」という、普通のエイトビートの曲が多い。曲調もマイナーキーで、しっとりとし、歌詞も「花・星・渚・涙」みたいな当時の少女漫画的なものが大勢を占める。

 つまり「おまえがパラダイス」は、アルバム「G.S. I LOVE YOU」向けにもかかわらず、GSというよりは、むしろ「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」のような、GSの面々が、シングルではやりたくてもできなくて、そのうっぷんを晴らすかのように、ジャズ喫茶で演奏していた洋楽のカバー曲に近いのだ。

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