「洋楽やりたいねん!」の原点とスピリット
シングル「おまえがパラダイス」(1980年12月23日発売)③
楽曲「おまえがパラダイス」について興味深いのは、同日発売の「G.S. I LOVE YOU」という、タイトルからして「GS」に向けられたアルバムに収録されているにもかかわらず、楽曲そのものがまったくグループサウンズ(GS)的ではない点だ。
メジャーキーのロッカバラード。「ロッカバラード」とは「♪ツツツ・タツツ……」という、ゆったりとしたリズムで出来たバラードのこと。ビートルズで言えば「オー!ダーリン」(1969年)とか、ローリング・ストーンズで言えば、沢田研二のいたザ・タイガースがよくカバーした「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」(64年)とか、あの系統のリズムである。
ここで重要なのは、ロッカバラードの有名曲が、GSにはあまりないこと。
GSのヒット曲といえば、リズムでは「♪ツツタツ・ツツタツ……」という、普通のエイトビートの曲が多い。曲調もマイナーキーで、しっとりとし、歌詞も「花・星・渚・涙」みたいな当時の少女漫画的なものが大勢を占める。
つまり「おまえがパラダイス」は、アルバム「G.S. I LOVE YOU」向けにもかかわらず、GSというよりは、むしろ「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」のような、GSの面々が、シングルではやりたくてもできなくて、そのうっぷんを晴らすかのように、ジャズ喫茶で演奏していた洋楽のカバー曲に近いのだ。


















