介護漫画「ペコロスの母に会いに行く」の漫画家・岡野雄一さんは今

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岡野雄一さん(漫画家/75歳)

 高齢化に伴い認知症も増加。「認知症にだけはなりたくない」と考える向きは少なくないが、10余年前、忘れていくことも悪くない、と思わせる介護漫画があった。「ペコロスの母に会いに行く」(西日本新聞社)だ。認知症になった母と、ペコロス(小タマネギ)のようなまん丸頭の息子の交流が心にしみ、泣き笑いさせられた。著者の岡野雄一さん、今どうしているのか。

  ◇  ◇  ◇

 岡野さんに会ったのは、長崎駅から徒歩20分弱の長崎歴史文化博物館2階の「銀嶺」ミュージアムレストラン。

「この近辺で生まれ育ち、今も実家の隣に住んでいます。20歳で漫画家を夢見て上京し、40歳のとき、手がけていた雑誌の廃刊と離婚が重なり、ひとり息子を連れて実家に戻ってきました。『ペコロス──』が広く読まれてからも、認知症の母がいたので再上京せず、ずっとコッチです」

 岡野さん、まずはこう言った。頭は“ペコロス”の形のままだが、頬がずいぶんこけている。

■十二指腸乳頭部がんで13時間の大手術

「これでも5キロほど戻ったんですよ。一時は10キロ以上落ちてしまったので」

 一昨年10月に十二指腸乳頭部がんを発症し、13時間の大手術と抗がん剤治療を受けたのだという。

「入院前は食欲が落ち、声が出なくなり、元気もなくなっていたらしく、行きつけの飲み屋で知り合った医者に勧められ受診したところ、大学病院に即、入院に。入院したとたん、嘔吐や息苦しさで究極につらく……少し遅れていたら、危なかったと思います。幸い手術は成功し、抗がん剤治療の副作用もほとんどなく6カ月で終了。今は3カ月に1度の検診を続け、異常なしです」

 以来、規則正しい生活を送るようになったとか。

「1日3食、きちんと食事をして、朝7時に起きてから夜12時に寝るまで、運動のための散歩の最中も、ずっと漫画のことを考えています。病気になる前までは行きつけの飲み屋に友人と集まるのが楽しみだったのに、今は周りが気を使い、あまり誘われなくなりました。かえって漫画に集中できるようになり、患っていた痛風が治りました(笑)」

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