「地球の歩き方『杉並区』」地球の歩き方編集室編集
「地球の歩き方『杉並区』」地球の歩き方編集室編集
この数年、世界の移り変わりは目覚ましく、特にコロナ禍でさまざまなものが変容した。その変容で大きなピンチを迎え、それを発想の妙で逆に売り上げの幅を広げたメジャー本がある。「地球の歩き方」だ。
海外がメインの旅行書、だがこの時期は海外渡航が長期で制限されていた。そこで打ち出したのが過去のデータを組み合わせたものと国内版地球の歩き方だ。データの方は「世界のグルメ図鑑」や「すごい巨像」、マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」「宇宙兄弟」とのコラボも。現地に行けなくても読み物として面白いものだった。国内版も東京や仙台など主要都市を最初扱っていたのだが、つい最近私が住んでいる「杉並区」だけで1冊出たのは思わず笑ってしまった。地球って書いてるのに杉並区って。ところがこのローカル性が話題になりよくテレビでも特集されるようになった。本当に大ピンチからの復活劇が凄い、地球の歩き方。どんなことがあっても歩みを止めない。
我が町杉並区はどんなふうに書かれているのだろう。高円寺、阿佐谷、荻窪に代表される中央線エリア。下井草などの西武新宿線エリア、永福町などの京王井の頭エリア。一口に杉並区といっても結構広いのだなと改めて感じる。
中央線沿いにはカレー屋が多いのだが、その理由もきちんと明記されていた。もともと学生が多く住む地域なので安価な外食として親しまれていたことに加え、2013年、阿佐谷にネパールのインターナショナルスクール(現在は荻窪)が開設されたことでスパイス店が増え、より進化したカレー屋が生まれたそうだ。もちろん名店の数々も紹介されているのでカレー好きはぜひこの本を持って杉並カレーを味わってほしい。
昔ながらの下町も多いので、居酒屋や入りやすいBAR、銭湯のガイドが多いのも助かる。友人を誘ってハシゴ酒をしたりひとっ風呂浴びに行きたい。
12年杉並区に住んでいるが8割以上知らないことだらけだった。さすが「地球の歩き方」チーム、世界を股にかけて調べられるポテンシャルは国内でも、地域が狭くなっても熱量変わらず作られている。あなたが住んでる町や気になる地域の「地球の歩き方」が出ていたら、手に取って読んでほしい。 (Gakken 2310円)



















