(54)介護は、予測ができず、急な判断に迫られることの連続

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 母が新型コロナウイルスへの感染で約1カ月入院し、ようやく施設に戻ったのが11月末だった。その後、年末ぎりぎりに通いの医師から「お別れが近いかもしれません」と連絡が入った。急なことに驚き、なんとか元日の飛行機を取り、急いで熊本へ戻った。

 母はレビー小体型認知症でパーキンソン症状もあり、寝たきりだが、致命的な持病はない。学生の頃は生家の農業や、学校を卒業してからは弁当の配達など、長く体を使う生活をしてきた苦労人で、年齢相応の衰え以外に大きな問題は見当たらない。それなのに、医師は「もうお母さんは十分生きられましたからね」と私に言った。

 私は医師に絶望した。人生がいつまで続くかなど、誰にもわからない。長くはないかもしれないという現実は受け止めているつもりだ。それでも、その言葉を他人に言われたくはなかった。

 2日の朝、近隣の大きな神社へ初詣に行った。実家にいる頃は母とよく出かけたものだ。

 早朝の境内は冷たい空気の中に静かな気配があり、神職やそのご家族、巫女、そして近くの学校の生徒たちの姿に、人の営みの連なりを感じた。

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