著者のコラム一覧
酒向正春ねりま健育会病院院長

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

「攻めのリハビリ治療」の3つの基盤とはどんなものなのか

公開日: 更新日:

 病気やケガによって機能や能力に重篤な障害が生じたり、認知症などの慢性疾患で全身状態が衰えている重症な患者さんの人間力を回復させる「攻めのリハビリ治療」には、3つの基盤があります。①1日3時間の積極的リハ治療②1日12時間の日中完全離床③1日24時間の再発予防と全身管理です。たとえ重症なケースでも、覚醒を上げるために抗重力位(脳に重力を感じさせる姿勢)で立たせて歩かせる立位歩行訓練と、コミュニケーション訓練を繰り返すのです。

 24時間の視点で説明すると、午前6時に起床、午後9時に消灯、10時に就寝する生活リズムを構築することから始まります。睡眠時間は平均6時間ですが、床上時間は睡眠前後の1時間を加えた8時間です。日中に12時間の完全離床をすることで、夜は良眠できるよう睡眠が管理できます。仮に睡眠薬治療を行っても、日中に傾眠状態(刺激がなくなると眠りに落ちてしまう状態)にせずに、覚醒を向上することで、攻めのリハ治療が可能になります。

 3つの基盤のうち、セラピストが行う3時間の積極的リハ治療は全国の回復期病棟で可能です。しかし、看護師が実践する12時間の日中完全離床と、医師が実践する24時間の再発予防と全身管理はいまだ十分に定着していません。この2つの基盤が人間力を回復させる治療結果に強く影響します。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ