「攻めのリハビリ治療」の3つの基盤とはどんなものなのか
病気やケガによって機能や能力に重篤な障害が生じたり、認知症などの慢性疾患で全身状態が衰えている重症な患者さんの人間力を回復させる「攻めのリハビリ治療」には、3つの基盤があります。①1日3時間の積極的リハ治療②1日12時間の日中完全離床③1日24時間の再発予防と全身管理です。たとえ重症なケースでも、覚醒を上げるために抗重力位(脳に重力を感じさせる姿勢)で立たせて歩かせる立位歩行訓練と、コミュニケーション訓練を繰り返すのです。
24時間の視点で説明すると、午前6時に起床、午後9時に消灯、10時に就寝する生活リズムを構築することから始まります。睡眠時間は平均6時間ですが、床上時間は睡眠前後の1時間を加えた8時間です。日中に12時間の完全離床をすることで、夜は良眠できるよう睡眠が管理できます。仮に睡眠薬治療を行っても、日中に傾眠状態(刺激がなくなると眠りに落ちてしまう状態)にせずに、覚醒を向上することで、攻めのリハ治療が可能になります。
3つの基盤のうち、セラピストが行う3時間の積極的リハ治療は全国の回復期病棟で可能です。しかし、看護師が実践する12時間の日中完全離床と、医師が実践する24時間の再発予防と全身管理はいまだ十分に定着していません。この2つの基盤が人間力を回復させる治療結果に強く影響します。


















