著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

生まれる前から予防…「RSV母子免疫ワクチン」は新しいアプローチ

公開日: 更新日:

 RSウイルス(RSV)は、かつては冬に流行していましたが、近年では春から夏にかけて流行することが多くなっています。子供がかかる「ただの風邪」と思われがちですが、生後まもない赤ちゃんにとっては別物です。気管支炎や肺炎を起こしやすく、入院や酸素投与が必要になるケースも決して少なくありません。特に生後6カ月未満は免疫が未成熟で、重症化しやすい危険な時期です。

 この対策として今、注目されているのが「RSV母子免疫ワクチン」です。このワクチンは妊婦さんが妊娠後期(特に28~36週ごろ)に接種することで、母体で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんへ移行し、生後数カ月の感染・重症化を防ぐという仕組みです。つまり「赤ちゃんが生まれる前から予防する」という新しいアプローチなのです。

 臨床研究では、重症化リスクを大きく減らす効果も示されています。今年11月には、厚生労働省の予防接種基本方針部会において、この母子免疫ワクチンを2026年度から定期接種化する方針が了承されました。実現すれば、妊婦健診の流れの中で公費で接種できるようになり、より多くの母子がRSVから守られるようになります。

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