生まれる前から予防…「RSV母子免疫ワクチン」は新しいアプローチ
RSウイルス(RSV)は、かつては冬に流行していましたが、近年では春から夏にかけて流行することが多くなっています。子供がかかる「ただの風邪」と思われがちですが、生後まもない赤ちゃんにとっては別物です。気管支炎や肺炎を起こしやすく、入院や酸素投与が必要になるケースも決して少なくありません。特に生後6カ月未満は免疫が未成熟で、重症化しやすい危険な時期です。
この対策として今、注目されているのが「RSV母子免疫ワクチン」です。このワクチンは妊婦さんが妊娠後期(特に28~36週ごろ)に接種することで、母体で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんへ移行し、生後数カ月の感染・重症化を防ぐという仕組みです。つまり「赤ちゃんが生まれる前から予防する」という新しいアプローチなのです。
臨床研究では、重症化リスクを大きく減らす効果も示されています。今年11月には、厚生労働省の予防接種基本方針部会において、この母子免疫ワクチンを2026年度から定期接種化する方針が了承されました。実現すれば、妊婦健診の流れの中で公費で接種できるようになり、より多くの母子がRSVから守られるようになります。


















