著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(21)「ムツさんは自分を楽しみ、能力を試し、やり切った。そしてあの著作群は…」

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増田「畑さんが2023年に亡くなったときはやっぱりショックを受けましたか」

加納「いや、彼は自分を楽しんだ人だから。大いに自分のその能力を試した。そしてやりきった。それがこう、文化的に、科学的にどこまで意味あるかとか、そういうつまんない次元のことじゃなくてさ、1人の人間の生きざまとしては十分だったと俺は思うんだ」

増田「亡くなった時は特に悲しいっていうよりも」

加納「そうそう。誰でも寿命があるから。俺だってもちろん、そのうちやってくる。だから畑さんが亡くなったことは残念だけど、やることやりきって亡くなったんだという思いはあるね」

増田「表現者としてあのようにありたいと」

加納「そうだね。彼の書いたものは、いわゆる純文学ではない。エンタメでもない。随筆が中心です。その読者っていうのは哲学者とか文化人ではなくて、多くの人にわかりやすく書いてある。彼自身はものすごく頭が切れて複雑な人物なんだけど、それを誰にでもわかるように噛み砕いて書いている。明快に事実を展開して中学生ぐらいなら十分わかるように書いた」

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