異色サスペンス「フェイクアウト!」は次の「侍タイムスリッパー」の到来だ

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 ある事件を、それに関わった登場人物それぞれの視点から見ていくことで、事件の謎がパズルのピースをはめ込むように明かされていく。堀江慶監督による痛快なサスペンス、「フェイクアウト!」が6月20日から公開中だ。

 主人公は借金を返済するために、IT企業の機密データを100万円で持ち出すことを請け負った高島誠人。彼は持ち出したデータが、超高精度のAI株価予想プログラムだと気づいて、報酬を吊り上げる。彼に仕事を依頼した桝井は、激怒して誠人の妹・由衣を誘拐。さらに誠人の恋人・清美もこの件に絡んできて、誠人を中心にデータを巡るだまし合いが始まるというもの。

 はじめは誠人の視点でストーリーが進行するが桝井とのデータの取引現場でアクシデントが勃発。ここで誠人がデータを取得する前に時間が戻り、別の人物の目から同じ状況を見つめていく展開になる。大きくは3つの視点から出来事が描かれるクライム・エンターテインメントだが、誠人の視点から見ると巻き込まれ型のサスペンス、別の人物から見れば詐欺師まがいのコンゲーム、ある人物から見れば復讐が絡んだ狙撃アクションと、視点が変わるたびに作品そのものの見え方が変化していくのが面白い。

 また1人の視点から描くと見ていて引っかかる謎が、視点が変わると全体像が分かってきて、解明されていくのも楽しい。企画・脚本の片山直樹は、構想期間に4年を費やしオリジナル脚本を書き上げたというが、計算された時間軸の流れと人物配置が見事にはまっている。

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